ILSC即時荷重研究会 第5回講演会
[会長] 有賀 正治 先生 |
[副会長] 川添 祐亮 先生 |
テーマ:私達のトラブルシューティング ~欠損補綴を成功に導くために~
【日程】 2021年8月29日(日)
【時間】 9:30~16:00
Moderator 辰巳 順一 先生 |
朝日大学歯学部口腔感染医療学講座 歯周病学分野教授 日本歯周病学会専門医・評議員・口腔インプラント委員会委員 日本顎咬合学会指導医 独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査員 |
Moderator 松下 孝直 先生 |
大阪歯科大学卒業 医療法人慶歯会松下歯科医院理事長 月臨会主宰 大阪K’sCLUB 会員 |
MC 鈴木 玲爾 先生 |
明海大学歯学部講師 PDI埼玉歯科診療所所長 日本顎咬合学会指導医 日本口腔インプラント学会専修医 ICOI指導医 Visiting Scholar,Section of Periodontics,UCLA ILSC即時荷重研究会理事 |
9:30 | 開会の辞 [会長]有賀 正治 先生 |
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9:35 | イントロダクション [モデレイター]松下 孝直 先生 |
9:40 | イントロダクション [モデレイター]辰巳 順一 先生 |
9:45 | 林 丈裕 先生 『審美領域におけるインプラント治療戦略 ~トラブルを起こさないために必要なこと~』 |
10:25 | 休憩 |
10:30 | 松本 勝利 先生 『IOD・IPODの即時荷重におけるリスクスタンスの考え方』 |
11:10 | 休憩 |
11:15 | 南 清和 先生 『インプラントを用いた咬合崩壊症例を成功させる為に知っておくべき事』 |
11:55 | 休憩 |
12:00 | 白鳥 清人 先生 『トラブルから学ぶ即時荷重』 |
12:50 | 休憩 |
12:55 | 橋村 吾郎 先生 『リカバリーケースから学ぶ、失敗しない為の治療の進め方』 |
13:45 | 休憩 |
13:50 | 鈴木 貴規 先生 『トラブルシューティングの対応策と予防策』 |
14:40 | 休憩 |
14:45 | 林 揚春 先生 『第五世代のインプラント治療』 |
15:35 | 全体を通しての質疑応答 |
15:55 | 閉会の辞 [副会長]川添 祐亮 先生 |
16:00 | 終了 |
【オンデマンド視聴注意事項】
■ オンデマンド視聴は事前に申込みされた方のみ視聴可能となっております。
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■ 本セミナー中の著作権は全て即時荷重研究会に帰属します。
■ 動画撮影・静止画撮影・録音等は固くお断り致します。ご理解ご協力をお願い致します。
前編
動画時間 2時間55分59秒
後編
動画時間 3時間55分17秒
林 丈裕 先生
『審美領域におけるインプラント治療戦略 ~トラブルを起こさないために必要なこと~』
医療法人社団丈秀会 理事長 FIDI 日本口腔インプラント学会 専修医 ICOI fellow ILSC即時荷重研究会理事 |
インプラント植立が可能な部位にインプラントを配置し、補綴処置にて対向関係を調整する外科主導型のインプラント治療から、骨造成のための外科的手技の向上により残存骨の状態に関係なく理想的な補綴処置を基準とした位置にインプラントを配置する補綴主導型インプラント治療へと移り変わった。
しかし、長期経過とともに骨移植によって造成された骨の吸収などがみとめられ、患者へ与える負担の大きさに比べて、その結果や効果に不確定要素が多いのが現実である。
予知性の高いインプラント治療を実践するためには、いかに既存骨を利用してインプラントを埋入するかということが重要なテーマとなる。
本講演では既存骨を最大限に活用した適正な位置にインプラントを埋入することにより、短い治療期間で、低侵襲(疼痛・腫脹の軽減、外科処置回数の軽減、低リスク)で、長期にわたって安定した結果が得られるインプラント治療について解説する。特に患者の審美・機能的要求も高い「上顎前歯部におけるインプラントの埋入」に焦点を絞る。
松本 勝利 先生
『IOD・IPODの即時荷重におけるリスクスタンスの考え方』
1987年 明海大学歯学部 卒業 1989年 医療法人慈愛恵真会あらかい歯科医院開業 1998年 GLOBAL DENTAL SYSTEM 代表 2013年 神奈川歯科大学 咬合機能回復補綴医学講座 有床義歯補綴学分野 非常勤講師 2018年 鶴見大学クラウンブリッジ補綴学講座非常勤講師 |
インプラント治療を併用する全部床義歯・局部床義歯においては、欠損歯数に対してかなり少数のインプラントにて対応することになる。このことによるリスクの観点から、歯周病に罹患しづらい環境をインプラント周囲に確保することは当然であるが、インプラント体に外力が極力加わらないようにすることはとても重要であると考えている。この観点から見ると全部床義歯においては付与する咬合関係はもちろんのことであるが、ニュートラルゾーンへのスーパーストラクチャーの構築だけでなく、義歯研磨面形態には十分に配慮しなければならない。
また局部床義歯においては、上記事項を遵守することはもとよりであるが、IPODを適応することにより欠損歯列の拡大が防止されるようなポジションにインプラントを埋入計画する必要が重要である。
今回は上記事項について時間の許す限り皆さんと一緒に考えて行けたらと思います。
南 清和 先生
『インプラントを用いた咬合崩壊症例を成功させる為に知っておくべき事』
医療法人健志会 ミナミ歯科クリニック理事長 明海大学歯学部臨床教授 明海朝日大学歯学部CE 講師 日本顎咬合学会 元理事長 日本口腔インプラント学会専門医 ILSC即時荷重研究会名誉会員 |
1993年にBB.McCollum 『あなたはいつから一口腔一単位の治療を始めますか?私は今日から始めます』の名言があり、それは一世紀前のことであります。
多くの患者は歯周病の進行により全顎的に骨欠損が進行していたり、多数の不良補綴物の存在により咬合崩壊にいたる。インプラント治療で最も難度なのは咬合崩壊症例である。そして咬合崩壊症例は局所的治療対応であれば治癒することはない、そのため一口腔一単位での対応にて治療のための咬合を与えなければならない。治療のための咬合とは、1.TMJの安定 2.適正なアンテリアガイダンスの付与 3.適正な咬合高径、バーティカルストップの設定確立 4.神経筋機構との調和 これらの4項目を踏まえた咬合再構成を達成することである。ここで咬合治療はただ単にディスクルージョン【臼歯部離開】させれば良いだけでない。そこでインプラントを用いた咬合再構成の最重要ポイント(中心位採得、咬合高径の決定、アンテリアガイダンスの与え方)について整理し、私の症例からどのようにすれば臨床的に咬合再構成した症例が長期的に安定するかを検証致します。
白鳥 清人 先生
『トラブルから学ぶ即時荷重』
白鳥歯科インプラントセンター院長 日本口腔インプラント学会 専門医 九州大学臨床教授 昭和大学顎口腔疾患制御外科学兼任講師 |
インプラント治療は、1980年代よりチタンインプラントが主流となり、良好な臨床成績から欠損補綴の治療法として選択されることが多くなってきた。初期の頃は、良好な骨質の部位にインプラントを埋入し、十分な免荷期間を待って補綴物の提供がなされてきたが、抜歯即時埋入やリッジプリザベーション、GBRの普及、あるいは、CTの普及もあって傾斜埋入の応用などで、抜歯窩や骨質の悪い部位にもインプラント埋入が可能となり、また、抜歯後、早期にインプラントが埋入され、早期に荷重されることも多くなってきた。治療回数や治療時間の短縮は、術者と患者、双方にとって有用なことであるが、それによって、インプラント体の早期脱落や後期のインプラント周囲炎の発症といった偶発症の発症リスクが高くなってはならない。また、即時荷重のために抜歯をするのであれば、他の治療法も含め、本当に必要な抜歯なのか十分に検討し、治療計画を立案する必要がある。
今回は、私自身の臨床経験から即時荷重について考察し、現時点での即時荷重の考え方についてまとめてみたい。
橋村 吾郎 先生
『リカバリーケースから学ぶ、失敗しない為の治療の進め方』
神奈川歯科大学卒業 医療法人ODC 理事長 study group DOUBLE TOKYO 主宰 |
インプラント治療は、患者の生活、人生を左右する治療であり、治療によって関わる全ての人々を幸せにする事が我々の望みである。
人は失敗から多くを学ぶというが、我々医療人にとって、治療の失敗はあってはならないものである。
演者は、インプラント治療の失敗の原因は、多くが術者側にあると考えている。
治療を成功に導く為には、歯科医師の知識・技術・経験の3つが必要不可欠であり、これらの総合力が症例の難易度を下回った場合、治療は失敗に向かう事となる。
難易度が高い代表的なインプラント治療に、前歯部審美エリアと全顎的治療が挙げられる。
前者における治療の失敗は、時に悲惨な結果となり、リカバリー治療の難易度は、最初の治療の数倍にもなる。また、後者における失敗は、治療前より患者のQOLを著しく低下させる可能性がある。
今回はこの二つの治療を成功に導く為に必要な知識、治療の進め方を示すと共に、不幸にも失敗した時のリカバリーについても示したい。
鈴木 貴規 先生
『トラブルシューティングの対応策と予防策』
日本歯科大学生命歯学部卒業 日本歯科大学補綴学第二講座 非常勤講師 ニューヨーク大学歯周インプラント科 准教授 国際インプラント学会フェロー ディプロメイト |
歯科インプラント治療における成功の秘訣は、トラブルが起きた時の対応策に加え、トラブルを未然に防ぐ、または同じトラブルを繰り返さない予防策を常に考えることである。特に、極端に骨が萎縮した難易度の高いケースに対するトリートメントプランニングでは、考え得るリスクヘッジを図り、トラブルを未然に防ぐ予防策が重要となる。今回は、極端に骨が萎縮したケースに対するトラブルシューティングの対応策と予防策を様々な角度から考察したい。
林 揚春 先生
『第五世代のインプラント治療』
医療法人社団秀飛会 理事長 日本大学客員教授 ICOI 指導医 日本顎咬合学会指導医 ILSC即時荷重研究会名誉顧問 |
これからのインプラント治療に求められるのは低侵襲の短期間治療であり、それを実践するためには既存骨を最大限に利用することである。特に垂直的骨量が少ない上顎臼歯部へのインプラントアプローチは、上顎洞底挙上術が必須という考え方 が定着しており、ラテラルアプローチのサイナスリフトから歯槽頂アプローチのソケットリフトと主流となる術式は低侵襲なものに変化してきたものの、上顎洞に積極的なアプローチして外科的処置を行うということに変わりはない。これは、長いインプラントを埋入することが臨床的に有利であるという過去の認識が臨床的な検証もなく暗黙のうちに引き継がれてきたイメージであり、その認識によって上下顎に限らず垂直的残存骨量が乏しいケースは垂直的な骨造成が必要とされ、結果的にインプラント治療は、「外科的侵襲が大きく治療が長期間に及ぶ」ということが当然のごとく定着しているように感じられる。
今回は、上顎洞における垂直骨量が乏しい症例に対して、積極的な垂直骨量の増加を行わないエクストラワイドショートインプラントの有効性と効果について症例を通して解説する。